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おねえちゃん忘れてるっ!

その5

おねえちゃんが
玄関先で
忘れてるっ!




「じゃ、行ってきま〜す」
「まちなさーいっ!」
「きゃ……きゃあっ!?」
「おねえちゃん、今日こそはさせないわよっ……!」
「玄関で押し倒されちゃった……今までにない経験に、
 おねえちゃんドキドキ……」
「な、何言ってるのよっ!?」
「ま、まだお昼過ぎだよ〜、真昼の情事は
 モモちゃんにはちょっと早いよ〜」
「そうじゃなくって、わたしがしたかったのは……これよっ!」
「いっ……いきなりスカートめくるなんて……。
 おねえちゃんドキドキを通り越してクラクラ……」
「あ、あれっ……?」
「ああ、どうしよう〜」
「おねえちゃんが、ちゃんとパンツはいてる……」
「モモちゃんがこんなに積極的だったなんて〜」
「なんでこんな面積の少ないヒモパンなんてはいてるのかとか
 突込みどころはあるけれど、一応ちゃんとはいてる……」
「おねえちゃんモモちゃんのことだったらなんでも受け入れるから、
 ちょっとぐらい激しくしても大丈夫だよ……」
「いいかげんにしなさいっ!」
「あうっ! 頭はたいても痛いだけだよ〜」
「わたしはただおねえちゃんがちゃんとパンツはいてるか
 確認しただけっ!」
「………」
「………」
「モモちゃん強引過ぎ」
「……冷静に考えるとわたしもそう思う」
「おねえちゃん、なんだかガッカリ」
「なにがよっ!? って言うかそもそもっ!
 いつものおねえちゃんのはき忘れっぷりがいけないんでしょうっ!」
「いつもって……そんなにはき忘れてないよ〜」
「へええ〜。何を根拠にっ!?」
「え、えとそのおねえちゃんは〜……」
「ちゃんと記録とってるんだからね。それにわたし
 表計算のソフト使えるんだから。
 なんなら棒グラフでも折れ線グラフでも、お望みなら円グラフでだって
 見せてあげるわよっ!
 おねえちゃんがことごとくパンツをはき忘れているという現実をっ!」
「あ、あうう〜」
「わたしがここまでするのもわかるでしょ?
 おねちゃんがドジだからいけないのよっ!」
「ど、ドジじゃないよ〜」
「だからそういうなら証拠を見せてっ」
「そ、それは〜……」
「ほら、言えないでしょ。だからおねえちゃん、ドジ認定」
「うう、そんなことないよ〜」
「どうしてそんなことが言えるのよ?」
「だって……おねえちゃん、そんなにパンツはき忘れてないもんっ!」
「だから記録が……」
「そ、それは間違ってるんだよっ!」
「へ?」
「おねえちゃんのパンツは……実はバカには見えない布で
 編まれていたんだよっ!」
「!」
「えっへん」
「へーそうなんだすごいねー」
「うんっ」
「じゃあわたしは今までバカだったから見えなかったんだねー」
「で、でも今は見えてるんでしょっ……だったらもうバカじゃないよっ」
「ありがとう。おねえちゃんやさしいね」
「う、うん」
「あははっ」
「へへっ」
「あははははっ!」
「えへへへへっ!」
「あははははなにいってんのよおねえちゃんはあっ!?」
「ひあ〜、ほっぺひっぱらないで〜」
「あんなこと言う口は伸びてしまえっ!
 どこまでもどこまでもかぎりなくっ!!」
「ひはははひ〜」
「まったくっ……!」
「ふええ〜」
「なんであんなこと言ったのよ?」
「だってぇ……ドジばっかりで、おねえちゃんちっともモモちゃんに
 信用されてないなって思ったら、悲しくなっちゃって……。
 ちょっといじわるしたかったんだよ……」
「だからってねえ……」
「ごめんね……こんなんじゃ、おねえちゃん失格だよね……」
「え?」
「モモちゃん、おねえちゃんのこと嫌い?」
「な、なにを……」
「おねえちゃんがおねえちゃんだったら……やだ?」
「! な、何言ってるのよっ!? おねえちゃんが失格だったら
 わたしだってそうだよ。
 おねえちゃんはちゃんとパンツはいてるのに、
 そのことを信じられなくて……」
「そんな、モモちゃん……」
「おねえちゃんの妹は、世界に一人、わたしだけ。
 わたしのおねえちゃんは宇宙に一人、おねえちゃんだけ。
 わたしはおねえちゃんがおねえちゃんだから、
 世話を焼くの。焼きたいの」
「モモちゃあん……」
「ほら、すぐ泣かない。おでかけなんでしょ? ほら笑って笑って」
「う、うん。えへへっ……じゃあ、行ってくるね」
「うん、行ってらっしゃい」
「いってきまーすっ」
「やれやれ……でもまあ、今日はちゃんとパンツはいていったか
 ら安心ね……ってやだ、おねえちゃんハンカチ落としてる。
 まったくしょうがないんだから……
 あれ、このハンカチ紐がついてる……ってヒモ? ヒモパンっ!?
 まあったくおねえちゃんってばーっ!!」




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