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は〜とふるらぶこめでぃ
ほのぼのこがらちゃん

その8
〜情熱と敗北と〜





「アターーーックッ!!」
「ぐはーっ!!」

「ふっ! ビーチバレー大会と言うからには、どれほどの強者が出るかと思ったらっ!
 口ほどにもないザコばっかし!」
「そーだなー…」
「みんなあたしのスパイク一発で戦闘不能っ!!
 これなら優賞は貰ったようなものね」
「そーだなー……」
「なによ、覇気がないわねぇ」
「そーだなー………」
「なによ、朝のことまだ怒ってるの?」
「怒ってるって言うか、回復しない………」
「あはは、もうっ、元気出しなさいよ」
「無理だ。……あんなことがあったんだからな」



「おはようっ!!」
「お……おはよう……こがら」
「ほら、早く起きなさいっ」
「おう………あれっ?」
「どうしたの?」
「記憶が途切れてる………?」
「え?」
「ちょっと確認していいか」
「? いいけど」
「昨日………壊したボートの違約金払ったら宿代が足りなくなって、一部屋しか借りれなくなったんだよな」
「二部屋とってたけど、一部屋分の宿代と一部屋分のキャンセル料払ったら、お金なくなっちゃったんだよね。
 状況が状況だけに、親に頼るわけにもいかなかったし………」
「さすがに俺も昨日は疲れてて野宿はきついってことで、無理に泊めて貰ったんだよな」
「………我ながら寛大よね」
「俺はすぐに眠ろうと思ったんだが、お前にトランプに誘われて………」
「早めに眠っておいて、あたしが眠ってる間にに起き出してに変なことしようという計画を阻んだんだったわよね」
「違うっ! それでトランプをやって………」
「うん」
「やって……」
「うん」
「………何で俺、眠ってるんだ?」
「途中であんたが寝ちゃったんじゃない。やっぱり疲れが溜まってたのね」
「なんか眠った時の記憶が曖昧なんだが………。
 トランプやってたのは鮮明に覚えているんだけど………確か俺の近くのカードを拾おうと、お前が近づいて………。
 その後が思い出せない。それにこの腹にのこる重い痛みはいったい………?」
「き、気のせいよ」
「なんか俺が起きた時点で朝に弱いはずのお前がばっちり着替え終わってるってのも不自然な気が………」
「さ、さあっ! ぐずぐず言ってないで早く起きるっ!!」
「あ、いま布団を剥いだらっ………」
「!」
「いやあのこれは………」
「っっっきゃああああああああああああーーーーー!!」




「で、あの後しこたま殴られたんだよな」
「そ、そんなこともあったかしら」
「さすがにまだダメージが抜けない」
「し、仕方ないじゃないっ!
 あんたがいきなりあんなもの見せるからっ………」
「男である以上、逃れられない宿命なんだよっ!!」
「開き直らないでよっ!!」
「何言ってるんだっ!!
 だいたいお前がマウントポジションで殴ったりするから余計におさまらなくなるんだろうっ!」
「やっ……ちょっとっ……」
「『お尻になんか当たってる〜』とかいいながら際限なく殴ってっ………。
 今回は本気で死を覚悟したぞっ!!」
「こっ、こんな人前で何言ってんだーっ!!」
「ごはぁっ!!」
「ただでさえギャラリーがうっとおしいって言うのに………」


「ね、なにあれ? あのチビ殴ったわよ?」
「ちょーむかつく」
「兄妹げんかじゃない?」
「そうよね。あんなチビがあんなイケてるひとの彼女なわけないわよね」
「あのひと、素敵………」
「あたし、あとで声かけてみようかな……」
「あんたじゃ無理無理」
「それにしてもかっこいいわねぇ………きゃっ、こっち見たっ」



「………納得いかないわ」
「周りは気にするなよ
「何であんたみたいのが好意的に見られているのよ」
「別に嬉しくもない」
「………ずいぶんと傲慢ね」
「俺は、お前にさえ見てもらえればそれでいい」
「……っ! あんたって……」



「うわすげえ、まじ殴ったぞ」
「ちょーすげえ」
「小学生じゃないのか?」
「そうだな。あんなに胸が薄いやつが中学生であるはずがない」
「あの娘、強えぇ………」
「あとで勝負を挑んでみるか?」
「お前じゃ死ぬ死ぬ」
「そうそう、病院送りだ………うわっ、こっち睨んでるっ!」



「………蹴散らしてこようかしら」
「やめとけ。お前の魅力を理解しない愚者など相手にするだけ無駄だ」
「な、なによ。だいたいあたしの魅力って……なによ?」
「まず胸っ!!」
「!?」
「その限界まで薄く、それでいて真っ平らとも言えない微妙にして絶妙な隆起っ!!
 まさに神の領域にまでたどり着いた究極の起伏が生み出すなだらかなラインは、
 見るものに絶対の安らぎを与えるっ!!」
「っ………!」
「そしてっ! そのなだらかなラインを絶対的な魅力とするのはその小柄さっ! 
 無駄に背が高ければ、いかに神のラインと言えど余分に長くなり、その魅力を失うっ!!
 最適にして最高の小柄さっ!」
「あんたねぇっ………!」
「そうっ! 小柄さっ!!
 思わず抱きしめたくなる小柄さっ!!
 思わず”だっこ”したくなる小柄さっ!!
 思わず”たかいたかい”したくなる小柄さっ!!
 なんとすばらしいのだっ!!」
「もういい………周りは気にせず思いっきり殺ろう……」
「あと、そのリボンいいよな」
「!?」
「お手製だって言ってたけど、デザインいいし………。
 青いのに不思議と海の青にも空の青にもとけ込まない、良い色だよな」
「………」
「かわいいよ、こがら」
「もうっ……調子のいいことばっかりっ!」
「すまんな。お前があんまりかわいいんから……舞い上がってるな、俺」
「…でも、ちゃんと見ててくれたんだ……」
「え? 今なんて?」
「な、何でもないわよっ。
 今は特別に殴らないでおいて上げるわ。そうしないと、あたしの野望が………」
「?」
「な、なんでもないわっ! さあ、気合い入れていくわよっ!」
「これ以上気合い入れると死人が出るぞ………」



「アタークッッ!!」
「………」
「よしっ! 殲滅っ!!」
「………」
「なによ、黙っちゃって。ノリが悪いわねぇ」
「すまん。見とれてた」
「え?」
「ただでさえ水着という魅力的な服装なのに、太陽の下でほとばしる汗と共にはね回る様が
 なんかもう健康的にかわいくって………」
「”健康的”とか言いながらなんで鼻血吹いてんだーっ!!」
「ぐふぅっ………違う、これは衝撃波のせいだっ………」
「え?」
「お前、最後のアタックのせいで砂浜にクレーター出来てるぞ。
 対戦相手はどこかに”いって”しまったし」
「いいじゃない。決勝戦だし。これで優勝よっ!!」
「この有様は、既にビーチバレーですらないな……」
「よし、これであたしの野望が………」
「なんでこんな小さい大会に燃えてるんだ?
 商品だって”海の家1万円分お食事券”とかいう死ぬほどみみっちいものだし」
「優勝することが大切なのよっ!」
「なんか隣のミスコンに予算吸われたって話だけど」
「! いけない! 急がなくっちゃっ!!」
「え? なにを?」
「ミスコンっ! そろそろあたしの番になるはずよっ!!」
「えっ……お前エントリーしてたのか?」
「ビーチバレー大会で優勝して注目を浴びるっ!
 その人気をもってビーチのクイーンになるっ!
 パーフェクトな計画よっ!!」
「クイーンって………」
「じゃっ行ってくるわっ!
 あたしの晴れ姿を見てなさいねっ!」
「おいっ! こがらっ!
 行っちまった………。
 お前はクイーンって柄じゃないだろう………。
 俺の……俺だけの、プリンセスだろう………」





「なんでよっ!」
「みんな脅えてたな」
「なんで事もあろうに予選落ちなのよっ!!」
「あの破壊を目の当たりにしては、な」
「しかも10票しか入っていないとは何事よっ!」
「ミスコンって、一般にお前の魅力とは別なものを競う場だし……。
 むしろこの場に9人もの同士がいたことが驚きだが」
「納得いかないわっ!!」
「でも、壇上のお前は本当にかわいかったよ」
「! う、嘘ばっかり………。
 だいたいあんた、人がコンテストに参加しているのをいいことにナンパなんかしてっ!!」
「あれは勝手に寄ってきたんだ。俺がお前以外に目を向けると思うのか?」
「な、なによデレデレしちゃってっ!!」
「違うって……既に聞く耳なしか」
「殴るっ! 今日は気合い入れて殴るっ!!」
「こがら、それは八つ当たりというものだ」
「うるさいっ!」
「でも、もしそれが嫉妬なら……」
「嫉妬ならっ!?」
「俺は、嬉しい」
「えっ………?」
「………」
「………」
「こがら………」
「そんなわけあるかーっ!!」
「ぐわあっ!!」
「ああもう何かもやもやするっ!
 こうなったら、気が晴れるまで殴るっ!!」
「歪んだ愛情表現だな………」
「そんなわけあるかーっ!!」
「うっ……うわああああああああああーーーーっ!!」




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